Veisa

~フィジー伝統の物々交換~

“Barter for Better Fiji”

バイオリンをリュックサックに、タクシー料金は新鮮なフルーツで、レッスン代=の代わりにパンを。これらはCOVID-19による急速な雇用率の下落に対する対策の一つとしてFacebookページ「Barter for Better Fiji(より良いフィジーのための物々交換)」が作成されて以来、フィジー全体で行われている何百もの物々交換の3つの例です。

 

コロナの影響で、フィジーでは4万人以上(国民の5%近く)が失業しました。 「より良いフィジーのための物々交換」グループを立ち上げたマーレン ダット(Marlene Dutt)は、次のように述べています。「世界中の多くの人々とフィジーにとって、お金を手に入れることは難しくなり、労働強化することはさらに難しくなるでしょう。 この活動の目的は、人々が必要なものや欲しいものに対してお金を使わずに手に入れることができる方法を作ることであり、そうすることで限られた現金を手形、公共料金、交通機関などのお金が必要となる“モノ”のために節約することになります。

 

彼女のグループのFacebookページは、現在19万人弱のメンバーで、フィジーの人口の20%を超えており、グループの活動は「veisa」と呼ばれる何世紀も昔の伝統的な慣習の現代版といえます。 ピーポーセンタードデベロップメントの支持者でありコンサルタントであるアリシ ダウレワ(Alisi Daurewa)は次のように説明しています。「iTaukei [先住民のフィジー]の先祖はさまざまな状況でveisaを実践し、それは互恵関係の価値から生まれました。 たとえば、ナドロガの沿岸の人々(フィジーの本島、ビティレブ島の西部)は塩を作ることができるので、彼らはナドロガ-ナボサの高地の親戚にそれを持ち帰ります。一方高地には新鮮な野生の豚が生息し、高地に住む人々はとても美味しい豚肉が手にはいるため、彼らは海の塩と高地の豚肉を物々交換するのです。」

 

「The Art of Barter」と題された本の共著者であるシェラダリン(Shera Dalin)は、物々交換に興味があり試してみたいという人は、時間に余裕を持ち柔軟な態度である必要があると述べています。 「トレーダーは忍耐強くいなければいけません。 物々交換は、現金で購入するよりももっと時間がかかります」と彼女は言います。 「物々交換は非常に個人的なものであるため、トレーダーが「自分の利益だけを考える」といった態度を持たないことが大切です。 価値が比較的等しい交換を行うことをお勧めしますが、最も重要なことは、すべての当事者達が互いに結果に満足していることです。」

 

物々交換は、太平洋全体で活発になっており、トンガでは、前述と同様のFacebookページ「Barter for Change」があり、サモアでは1,000人を超えるメンバーを持つ「Barter for Better Samoa」と「Le Barter Samoa」の2つ、そしてバヌアツ共和国では「Barter for Nambawan Life Vanuatu」といった活動があります。さらに物々交換は太平洋だけでなく、英国の物々交換の団体や米国を本拠とする互恵通商協会など組織内においても大きく広がっています。

  

日本において、農産物を交換する長い歴史があり、特に地方においては1970年代からタイムバンキングが存在していたことは皆さんもご存じでしょう。その時代と同じように、近い将来日本でも物々交換がさらに普及していく時代が再び来ると、あなたは思いますか?

 

 

 

写真 https://www.indianweekender.co.nz/Pages/ArticleDetails/14/12285/Fiji/Get-you-hair-braided-for-toys-as-barter-system-resurfaces-in-Fiji

 

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